(22) サインしましょ

 署名の書き方をすこし書きましょう。

 式典の芳名録や寄附帳などに署名するのは、上手な人の隣にはなかなか書きにくいモノですが、ナニ、これにもコツがあります。

 まず、筆は鉛筆のように持ちません。筆が斜めに寝ると字になりません。筆文字は垂直になった軸に穂先がぶら下がって紙の上をアッチへぶらり、コッチへぶらりとついて行くから「水茎の跡」が残せるのです。

 筆は根本までおろして墨を含ませるのが基本ですが、硯で均して、柔らかくなっている部分の先3分の1が紙に当たると思って下さい。

 気持ちは火箸で灰を均すようと言いたいのですが、今時火鉢は家庭にありませんから、ボール紙にポツポツと棒で穴を開ける時の様に、二の腕は水平に、手首を持ち上げ、親指と小指はこちらから押し、向こうからは人差し指、中指、薬指でしっかり筆を引きつけます。慣れれば親指は上向きになります。

 こうすると、筆は真っ直ぐ立ち上がります。手首は上に曲げたまま、肘を動かして書いて行きます。そうすれば線がしっかりします。

 そこで、たてたてよこよこと、杉綾のように線を書いて行きます。次第に、筆に逆わず。気持ちの良い線が書けてきます。筆が素直に走ると今度は線の始まりと終わりに注意して、斜め45度で入り、斜め45度で抜けますが、こだわる必要はありません。コレを個性と言います(笑)

 次に小さな丸を書いて行きます。これも、筆が捻れずに気持ちの良い線が書ければ卒業です。

 はい、升目の中に、気持ちの良い線で。たてたてよこよこと自分の名前を書いて見ましょう。筆法も骨法も、サインでは考え無いことにします。

 ほら、自分の名前が気持ちの良い線で書けて来ませんか?それを書いているウチに合理的な筆遣いが判ってきます。無理、無駄、ムラのない筆運びです。

 書家は筆が立っているか、手首ではなく肘全体で書いているかを見て腕を判断します。

 ちゃんとした毛筆を使えば言うことはありませんが、練習は「ぺんてる」の筆ペン。コレはバカに出来ません。ナイロンですがちゃんと毛になっています。他の筆ペンと称するモノは皆駄目。

 これで、芳名録に行き当たる日が楽しみになりました。

 

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