B目から鱗がオチル・・・

 都会の友人達が来ると、まず「温泉が有って良いなあ・・・」と言うから、村の露天風呂に案内して、山間の夜のしじまと星を満喫して貰うことにしている。

 以下は何処という特定の風呂の話では無いとお断りしての話。

 近年、地方自治体でご当地温泉が大流行。公共事業のうちでは比較的安価、皆に喜ばれるPR度も満点と言うことであろう、有権者の反対が無くて少しは営業収入もあってという箱物事業は、そうそうあるものでもなく、冷泉なら数十メートルの掘削で出ると有ればなおさら、その結果温泉大国、風呂好き日本ならではの風景が展開される事になる。

 ところが、あまりにも似たような施設が氾濫して、せっかく作っても、近くの町に少しだけアクセスや施設の条件が良い、新しい物が出来たとたんに、たちまち入館者が3分の1に減ったりするから、油断がならない。ほんらい消費者は浮気者なのである。

 鼻高々で行政の成果を誇っても、安易な箱物行政のツケは以外と早いのであるが、元々採算は度外視で、政治的な配慮で建設しているとなれば、早晩行政のお荷物になるのが目に見えている。

 まあ、車に乗れてそこそこ小遣いがある町内の高齢者が、自宅の風呂代わりに500円の公衆浴場として利用している姿を見ると、この辺に今後の展開のヒントが有りそうにも見えるが、そもそもが営利を超越した「第三セクター」であるから、はたして、誰が採算の心配をしている事やら・・・経営を担当する理事者が親族一統を顔パスで入浴させていたりするのが平均的なムラの実体。

 そこへレジオネラ菌という問題が浮上して、死者まで出たとあれば、行政は責任を追及される事を何より嫌うから、湧出量の少ない冷泉を沸かして回し回ししながら使っているところでは、どうしても大量の塩素投入に頼る事になる。回収した湯から垢や浮遊物を濾過し、オマケに浴槽に脂や垢を付着させない為の薬品等を投入して、技術の進歩というか、「温泉システム」の湯は既に添加物だらけの加工食品並になっているらしい。

 実は、怪我の功名と言うか、塩素を大量に投与した湯に入ると、皮膚の表面が少し溶けるのだそうで、「温泉」に浸かってヌルヌルするのはそのためらしい。これは知らなかった。それなら”美人の湯”と言うのは本当で、まさに”一皮むけた良い女”になれる訳だ。そこの貴女には、お尻より、窒息するほど顔を浸けて来ることをお勧めしたい。

 農産物が薬品漬けの「工業製品」になって久しく、いちいちこだわっていたら何も食べられない状態で、それこそ、口にしない物にまでうるさく言っても、今更仕方が無いようなものだけど、どっこい、和歌山には本物の良い温泉が沢山ある。熱い湯は白浜・勝浦から龍神・本宮に抜ける地帯に集中していていて、県外の人からすれば和歌山は本当に温泉天国。

 自然の湯を浴槽の縁から溢れさせて居るような贅沢な湯がそこいらにあって、無料や銭湯並の値段で入れる贅沢は地元ならでは、これを享受しなければ。
 高速のインターチェンジから近いから・・・なんて貧乏症な選び方はいけない。それに冷泉を沸かすより、熱い湯を冷ます方がコスト的に不利だそうだから、自然の湯はまさに贅沢の極みなのである。
 
 産業が無い、働く企業が無い、若者が居ない・・・ナニ、年寄りと温泉が沢山あるだけで、和歌山には心豊かな良き日本が凝縮されて居るのです。知事さん、焦らない事ですよ。放っておいても”沸いて来る”物で勝負しましょうよ・・・
                                             2003.2


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