E医者と教師の非常識

 先日ある会合で、檀家さんの話になり、非常識で困る檀家さんが居て困る・・・と言う話に、つい、「そうなんですよね、医者と教師は寺の鬼門ですワ・・・」と言ってしまって、廻りを見ると学校の先生ばかり、公務員の内では、教員が最も多いんだそうだが、本当だ。

 先生、先生と言われ、狭い付き合いの中で、若い頃から威張って居られる仕事と言えば、まあそうなのかも知れないが、見ていると、定年で引いて来られた学校の先生が、その知識と経験を活かして地域の活動や団体のリーダーとして活躍する事もなく、しょんぼりと自宅にすっこんで居られる方が多いようにも思われる。

 こんな先生を訪ねると、それはもう喜んで、昔の話や世間の批判ばかり延々と聞かされ・・・で、明日何をしようという話は無いから、若い者は退屈で逃げ出したくなる。

 ウッカリ寺の総代さん等になられた日には、地域の事情や宗教、作法を学ぼうともしないし、自分が犠牲になって寺の為に汗を流そう等とはユメ思わない、条件が整ったら乗って上げましょうと言うスタンス。これでは何一つ物事を頼むに足りない。

 さて、私の檀家に明クンという若い大工さんが居て、なかなか真面目な好青年なんですが、その真面目と腕の良さを買われたのか、中学校当時の恩師に家を建ててくれと言われたワケ。

 有り難いお話、何回も足を運んで、間取りや造りに付いて注文を聞き見てこいと言うから遠くの建築も泊まりがけで見に行き、さあ、そろそろ取りかかろうかという段取りになって、さあ困った。

 大きな話で、使用する材料も高級とあって、今までの仮設の小屋掛けでは作業が出来ない、材料の購入も大きな金額、ここで明クンはたと考え込んだ。施主の先生、金額が幾らになるか、契約は何時どにするか、そんな事は念頭に無いらしいのである。

 まして、手付けを打つ気などさらさら無いらしい。

 先生が何も言わないので、ここまで来て今更金の話もしにくい、さりとて、お金を掛けすぎて「こんなつもりで無かった・・・」と言われて困る、気を利かして安く上げて、「こんな物しか建てられない大工か・・・」と言われるのは良くある話、もっと困る。明クン、弁慶の立ち往生。

 旦那と言うのはそんな物では無いんだがなあ。百年早いよセンセイ。

 「和尚が言ってやろうか?」と言っても、余所に漏らしたらセンセイに悪いから、それだけは・・・と、可哀想に歯切れの悪いこと。日頃元気な男がしょげて居る。

 まあ、田舎の事で、村内の仕事なら相場もあるし、値切られる事は有っても、長い付き合いの中で折り合う所もあるが、街から来たセンセイにそんな腹芸が通用するとは到底考えられぬ。

 ここで年寄りなり、世話役なりがそれとなく「若いモンに気を利かしてやらんかい・・・」となるところ、何しろ相手はセンセイだ。誰も相手にしない。村内では体の良いアホ扱いだ。

 これが医者相手なら、上手におだてて、良いカモにするというのが力量優れた和尚が腕の見せ処、檀家も期待して見ている処なんですが、こちらは退職金と年金だけ?・・・だから、困るんだなあ・・・ またまた 懺悔

2003.3


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