| H和尚のお漬け物
何年か前、私が福祉の専門学校を開いてから、3人の青年僧が入学してくれましたが、そのうちの一人です。 勿論寺の暮らしを支える為もありますが、福祉の仕事で布施行に従事していただけるのは、本当に嬉しく有り難いことです。 さて、彼の場合は、学校は卒業しましたが、男性であると言うこと、年齢が少し高かった事で、なかなか職場には恵まれませんでした。 そうして、やっとたどり着いたのが大きな資本の要らない福祉作業所です。 しかし、健常者ですら、内職仕事ではなかなか上手く行かない中で、事務所を借り、道具をかき集め、車や事務器機を整え、仕事を探し、行政と掛け合い、それはそれは大変な思いをしておりました。 今も、自ら軽トラックを運転して廃品回収をしたり、牛乳を配ったり、お盆の餓鬼棚の注文を受けたり、早朝から深夜まで寝る間も無く働いています。そうして、一人二人と対象の収容者を増やして来ました。 仲間の和尚のうちには、私に、「坊さんとして恰好が悪いから、内職みたいな事は止めるよう言ってやって呉れまいか・・・」等と言って来る親切?な者まで居ます。 確かに体裁どころではありませんが、でも、こちらの方が和尚として真っ当だと思いませんか? たとえば別の仲間に、結構な寺に晋山したとたん、早速、今まで慣習として寺でやっていた葬式には面倒だから本堂は貸しません。来にも「五重」をしますから、しっかり受者を集めて下さい・・・ 港町特有の、狭い露地の家並みで葬式には不便という、その土地特有の理由など考えも及ばないようで、公民館でやりゃあええ・・・と。 側からヨメさんは「そうよそうよ、家族のプライバシーを考えて貰わんとイカンワ・・・」と言いつのり、加えてその師匠も横から、「そうじゃ、和尚が一度口にしたことを、簡単に曲げるようではイカン、それで押し切らんと・・・」とか言うんだそうな。 先住も早々庫裡から追い出され、不便な兼務寺で隙間風が老骨に辛い独人暮し。そのうち施設行きかと囁かれている。 憤る檀家と和尚の間に入った総代さん達の嘆くまいことか。ほとほと困り果てて、ワシラの代はこれで決まってしまったのか・・・と。まあ、恥かしいことに坊さんも色々・・・ さて、気の暗くなるような話はおいて、寺嶋君の作業所に佛さんの使いが現われたのです。殆どボランティアの様にして、漬け物作りを教えて呉れる事になったそうです。これなら障碍者にも作業が出来ます。 それも、着色料や保存料、人工の調味料等を使わずに、素晴らしい味や色を出す技術を、30年掛けて磨いた方なんだそうです。早速見本を届けて呉れましたので、二人で頂きながら、今までの苦労話を聞 ・・・彼はね、涙が出るような辛い苦労の話を、楽しそうに笑いながら話すんです・・・ もとから自分を勘定に入れ忘れて居ますから、これはまあ天性のアホなんです・・・(関西以外の方、この”アホ”って判りますか?常不軽菩薩の事です。) 皆さん、ご一報頂きましたら商品を送ります。一度お試し頂いたうえ、味に納得されましたら是非廻りの方々にもお勧めして、作業所のサポーターとなって下さい。 今は若い身心障碍者が中心ですが、やがて高齢者にも仲間の輪を広げたいと、ようやく彼の夢も少し膨らみ始めました。 どうか力を貸してあげて下さい。いや、これがまた美味いんですワ・・・ 利竜 投地九拝
2003.11 |
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